「小野山……美紗です。よろしくお願いします」
「じゃあ小野山、一番後ろの席に。池崎の隣の席に座りなさい」
先生が指定したのは、龍平の隣の席。
何か机の数が多いと思ったら、そういう事だったわけね。
「イヤッホゥ! 美紗ちゃーん! こっちこっち!」
……あのバカ、本当に分かってんの?
小野山美紗が、夜の学校に現れた人なら、詳しい話を聞かなきゃならないって事を。
「美紗ちゃんはどこから引っ越して来たの? 家はこの学校の近く?」
背後から聞こえる龍平の声は、どれも昨日の夢とは関係のない事ばかり。
あいつに期待した私がバカだった。
「とんでもねぇ事が判明したぜ。俺はどうも怪しいと思ってよ、ずっと美紗ちゃんを観察していたんだよ。やっぱり俺の勘は間違ってなかったね」
一限目の授業が終わり、私達を集めた龍平が真面目な顔で話し始めた。
もしかしてこいつ、授業中ずっと小野山美紗を見てたの?
まあ、何か分かったと言うなら、その変態じみた行動も役に立ったって事だよね。