「あーっ! 聞きたくない聞きたくない! どうせ、バレたらこう言えとか、健司に言われてるんでしょ!?」
今まで私達をだましてたんだから、こんな時にどうするかなんて、健司なら考えていてもおかしくはないから。
「俺は……もう、誰かを犠牲にしようなんて思ってない!そりゃあ俺はバカだからよ、健司の言う通りにしてたけど。今は違う! 俺は、俺が正しいと思った事をやる!」
そんな事言われて、そう簡単に「分かった」なんて言うはずないでしょ。
本当にそうだとしたら、健司の部屋で話してたのは何よ。
見つけたカラダの場所を教えてたの、私は知ってるんだよ?
「じゃあ、あんたが正しいと思う事って何よ? どうせ何も考えてないんでしょ」
龍平が正しいと思ってる事なんて、あゆみが好きだからとか、美紗が可愛いからとかその程度だろうから。
「俺はよ、あゆみも美雪も、美紗ちゃんも留美子も好きなんだ」
ほら、やっぱりその程度だ。
私が一番最後だったのが気に入らないけど。
「だから、俺はお前らが望んでる事をやりてぇんだよ。……どうせもうすぐ無くなる命なんだからよ」
そう言った時の龍平の顔は……少し寂しそうだった。