「待てっ! 留美子!」
龍平の声が聞こえたけど、私はそれを無視して走り続けた。
どこに行くとか、考えてるわけじゃない。
この辺りは他には美紗の家に行くしかないから、そこに向かっているだけ。
健司の家を飛び出して20秒くらいで到着。
……私、何をしてるんだろ。
この世界を続けても、死ぬだけだって伝えられたから良いんだけど、私達に協力してくれてたと思ってた龍平が健司とつながってたのがショックだった。
でも、それがなければ私は、龍平に健司を説得してもらおうとしていたわけで……。
玄関の前に腰を下ろして、なぜか頬を伝っている涙を拭った。
「龍平のアホッ! 変態! ゴミッ!」
いくら言葉を並べても、心の中のモヤモヤは消えない。
何であんなやつのせいで、こんな気持ちにならなきゃならないのか。
これ以上一緒にいたら、私達が見つけたカラダを全部、健司に教えられてしまうかもしれない。
「留美子! お前……何勘違いしてんだよ!」
門の向こうから、慌てた様子で龍平が駆け寄って来た。