いつだったか思い出せないけど、一度来た事があるような気がする。
敷地内に入り、平屋の家屋と新築の家屋を見回して、私は新築の家へと進んだ。
玄関の前まで歩いて、インターホンを押してみる。
……けど、返事はなくて、誰も出てくる気配はない。
誰もいないのかな?
ドアノブに手を伸ばし、ドアを引いてみると……開いた。
玄関の中を見ると、そこには確かに健司の靴がある。
たくさん靴が出ているから、もしかすると別の履き物で外出してるのかもしれないけど。
「お邪魔しまーす」
小さな声で呟いて、コッソリと家の中に入った私は、健司の部屋がある二階に向かった。
階段を上がると、話し声が聞こえる。
あれ? 健司の他に誰かいるのかな?
まさか、廊下に聞こえるほどの声で独り言なんて言わないだろうし。
もしも、私の知らない人だったら気まずいなと、足音を立てないように部屋に近付いた。
「どう……だ? 本気で……るのか?」
「おう。あいつら……カラダを全部……ぜ。健司……」
部屋の中から聞こえて来た声。
私はこの声を知ってる。
ボソボソと呟くような健司の声と……。