「あ、ごめん。間違えた」
本当は間違えてないけど。
とりあえず、龍平と健司が携帯電話の電源を切っているのだという事は分かった。
ふたりが同じタイミングで電源を切ってるだけなのか。
でも困ったな。
私達だけで話をしても良いんだけど、できれば皆で話をしたいという気持ちが強い。
「仕方ない……とりあえず、健司の家に行ってみるかな。近いし」
龍平の事も気になるけど、世界を続けても殺されてしまう事に気付いてしまったから、健司を放ってはおけない。
荒れ放題の庭を通り、錆びついた門を抜けて道路に出た。
健司の家まではここから100メートルくらいだったから、そんなに時間はかからない。
精神的に追いつめられると危険。
私が感じる健司の印象だ。
だから、変な事は言わないようにする。
下手に神経を逆なでして、殺されたくないから。
健司の家が近付くにつれ、胸のドキドキが強くなってくる。
「はー……やだやだ。好きな人に逢うからドキドキするならまだしも、健司に会うのにドキドキするなんてさ」
溜め息を吐きながら歩いて、到着した健司の家。