話が理解できなくなった私は、思わず怒鳴ってしまった。


理解できない……と言うより、理解したくないのかな。


私が生きてきたと思っていた世界は、誰かの思い出の中だなんて。


「カラダ探しや赤い人の事は、誰にも話さない事ね。私が助けた5人と話をする分にはかまわないんだけど」


今さらそんな事を言われても……。


赤い人の話なら、高広さんや武司さん、結子さんも知ってるのだから。


難しい話はとりあえず美雪が来てからにしてほしい。


私ひとりしかいない間に話すって言ってたけど、わけの分からない話をずっとされるのは苦痛だ。


と、いうわけで、私は美紗の話を一時中断させて皆が来るのを待つ事にした。


数分後、あゆみと美雪が部屋のドアを開けて、室内に入って来た。


何をしているのか、龍平の姿はそこにはなくて。


まあ、あいつがいても話が理解できるとは思えないから、今はまだいなくても良いんだけど。


そして、美紗は美雪にこれまでの事とこれからの事を話し始めた。


相変わらず美紗の話は分からない。


前に聞いた話でさえも、少し考えないと整理できないくらいに。