横になっている美紗の横に椅子を運んで、私はそこに座った。


「さっきも話したけどさ、ヒビ割れていた世界の大職員室の前で、高広さんとか明日香さんとかと一緒にいて、美雪を心配してたみたいなんだけど。呪いがどうとか」


変な夢だったせいか、かなり鮮明に覚えている。


皆同級生っぽくて、イケメンの八代先生がキモメンだった不思議な夢。


「……呪いか。あの時の事ね。ひとりで逃げ込むつもりが、いったい何人の意識を巻き込んでしまったのかしらね」


ブツブツと、わけの分からない事を呟く美紗。


「あのさあ、ひとりで納得してないで私にも教えてよ。あんたと違って何も知らないんだからさあ」


「まだ柊さんしかいないから、話すなら今のうちね。少し難しいかもしれないけど、教えてあげるわ」


ベッドの上でゆっくりと上体を起こして、つながったばかりの腕を動かす。


手をグッと握ったり開いたりと、なじんでいるか確かめるように。


「柊さんが見た夢……それは夢じゃないわ。元の世界で本当に起こった事よ。あなたは、記憶の断片を見たと考えた方が良いわね」


ふーん、本当に起こった事の、記憶の断片ねぇ。





うん?