誰に気付かれたくなかったか知らないけど、だったらおとなしくしてれば良かったじゃん。


それに、私達が何かする時、結構美紗もノリノリだったと思うんだけどなあ。


「はいはい。でさ、あんたが気付かれたくないのって誰によ? 気付かれただけで世界にヒビが入るなんてありえないっしょ」


私は頭が悪いから、どういう理屈でそうなってるとか、難しい話は分からない。


だけど、美紗をかくまうくらいはできると思うけど、美紗の返答は、私が予想していなかったもので。


「誰か……なんて分からないわ。世界が気付き始めた。今はそうとしか……」


もう、そう言われると私にもどうして良いか分からない。


「世界って……そんな規模で話をされても分からないっつーの。まあ、何言われても分からない自信があるんだけどね」


「間違いないわね。柊さんじゃあ、この話は理解できないわ」


……自分で言うにはかまわないんだけど、人にハッキリと言われると腹が立つんですけど!


「でも……」


ムスッとした表情を美紗に向けて、無言の抗議をしようとしたところで、美紗はさらに口を開いた。


「理解できないのに、それでも私を気にかけてくれる柊さんに会えたのは……良かったわ」