この異常事態が何なのか、知っているとしたら美紗しかいない。
あの夢を見た私でさえ、これが何なのか分からないのだから。
「それにしても……相変わらずボロい外観だね。ヒビが入っても、何の違和感もないってのがすごいよ」
ハハッと苦笑いして、私は玄関に到着。
このドアを開ければ、中は新品同様の豪華な……と、ドアを引いた私は、自分の目を疑った。
きれいな絨毯、豪華なシャンデリア、そして柔らかく包み込んでくれる照明の光……が、そこにあるはずなのに。
私が見たのは、外観そのままのボロい内装。
蜘蛛の巣はそこかしこにあり、絨毯は真っ黒、吹き抜けのロビーは天井に穴があって、そこから射し込む光でそれらが見えていたのだ。
「ちょ、ちょっと……何よこれ!! 外も中もボロボロって、良いとこないじゃないのよ!」
この家は、屋内の豪華な造りが気に入っていたのに、幽霊でも出そうな雰囲気になってしまっていては、何の魅力もない。
そういえば、美紗が前に何か言ってたな。
きれいなのは、家がそう見せてるからとかどうとか。
確かそんな感じだったような気がするけど。