世界にヒビが入っているという事に。
隣のおばちゃんもそうだったけど、道行く人達の誰も、この異常には気付いてないみたいで。
私だけがおかしいという錯覚に陥ってしまいそうになる。
「ちょっとちょっと……何なのよ。皆どうかしちゃってるんじゃないの!? どうして誰も気付いてないわけ!?」
絶対にこの人達がおかしいんだよね?
もっと言えば、この世界がおかしな事になってるんだって!
ちょっと触れば、あの夢の中の世界みたいに、ガラガラと崩れてしまいそうな亀裂に手を伸ばしてみるけど、それに触れる事はできなかった。
違和感に包まれながら歩いた美紗の家までの道。
龍平やあゆみはまだ寝ているのか、その姿はなく、メールの返事もない。
美雪からは「どこにあるの?」と返事があって、説明が面倒だから、曲がる場所の写真を撮って、メールに添付して送っておいた。
たぶん大丈夫だと思う。
そうしてたどり着いた美紗の家。
昨日と同じように、鬱蒼と生い茂った草むらを分け入り、今にも朽ち果てそうなボロ屋へと向かう。