やった、もうちょっとで大職員だ。
脚の震えと恐怖から、今、自分が何をしているのか分からないという錯覚に陥るけど、やらなければならない事は分かってる。
大職員にあるカラダが、あゆみの物か、私の物かという事が分かればそれで良いから。
だけど、手を伸ばして、大職員のドアに近づいた時、それは起こった。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
校舎全体に響き渡るような大咆哮に、私は思わず伸ばした手を耳に当てて、身をすくめた。
そして……ベタベタという足音が、こちらに向かって移動を始めたのだ。
これは、赤い人の足音?
み、美紗はどうなったの?
なんて、考えてる余裕なんてない!
私は大職員のドアを開けて中に入ると、携帯電話の明かりで室内を照らした。
「どこよ! どこにあるのよ! 美雪!」
見渡す限り、どこにも見当たらないカラダを探して、私は叫んだ。
部屋が広い! 探す場所が多い!
美雪にどこにあるか聞いておけば良かった!