パンツを見られないように、慌ててスカートを押さえて龍平に顔を向けると、そこに龍平はいなかった。


私が向かおうとしている西棟の方に……ゴロゴロと、糸が切れた人形のように転がる、龍平の姿があったのだ。


その一瞬の光景が……写真のように鮮明に私の目に焼き付いた。


床に転がる龍平……。


廊下を西棟の方に落下しながら、龍平の頭部をその手につかんでいる赤い人……。


私が、その光景の意味を理解できたのは、遠くの方でグチャッという音が聞こえてから。












「ひ……ひやぁぁぁぁっ!」












健司の死体を一度見ておいたからか、腰が抜けて動けないという事はなかった。


それでも、床に手を突き、這って家政学室の前の廊下を必死に逃げる。


龍平は、私をかばってくれたんだ。


その気になれば、自分だけ助かる事もできたのに。


家政学室を目の前にして、私を守ってくれた。


赤い人が龍平を殺したという事は、私の姿を見ている赤い人は、間違いなくこっちに戻って来る!


家政学室の前で、何とか立ち上がる事ができた私は、震える脚を何とか前に出していた。


赤い人は、たぶん西棟の一番奥まで落ちた。


だったら、戻って来るには時間がかかるはず。