私達3人のうちの誰かの物じゃない。
龍平か、健司の物と思われるゴツゴツした右腕だ。
「龍平のならラッキーだよね。すぐに来るし、触れば分かる……って、あれ? これは……健司のだ」
近くに寄って、マジマジとその腕を眺めた私は、どこかで見たような気がして、健司の名前を出した。
ああ、そうだ。
一度、健司の手を見せてもらった事があったんだ。
人の手をじっくり見るなんてあまりないから、覚えていたのかな。
「よっ! 俺がいなくて寂しくなかったか?」
私が結論を出した直後、ちょっと良い声で龍平が部屋に入って来た。
そして、「おっ!」と小さく声を上げて腕に駆け寄ったけど、触るまでもなく自分の物ではないと判断して、フッと鼻で笑った。
「これは健司のだ。俺のじゃねぇよ」
そう言って私達に右手を見せる。
確かに健司の手と比べると、指の長さや毛の量なんかが違う。
「まあ、違うなら違うで良いけど、それより皆が見つけたカラダがどこにあったか、そろそろ教えてよ。たぶん、全部の部屋を調べたでしょ?」
私の言葉に、皆初日からの事を思い出すように目を閉じて、うーんとうなり始める。
そして、一番最初に口を開いたのは美雪だった。