なんて口に出したら、また怒るかもしれないからやめとこう。
「おーい、俺の話聞いてる? これで赤い人が気付かなかったんだけど……」
龍平が寂しそうに呟いているけど、そんなのは今はどうでも良い。
美紗が美雪と一緒にいる間に何を言ったのかは知らないけど、たぶんそのおかげでこうして話ができているんだろうと思うから。
この関係を再び壊さないように、私は気を付けなければならない。
匂いがきつい。
あゆみにそう言われた龍平は、塗料で汚れた制服を脱ぎ、それで頭に付いた塗料を拭って再びカラダ探しを開始した。
「何にもねぇな。留美子、そっちはどうだ?」
「んー、ない。てかさ、いくら制服が汚れたからって、パンツ一枚ってどうよ? 私、一応女なんだけどさ」
工業棟の二階を皆で調べ始めて、残り二部屋。
でも、ここでもうカラダをふたつも見つけているせいか、それらしいものは何もなくて。
赤い人がどこから現れるか分からないという恐怖が、誰と一緒にいても安心感を与えてくれない。
「失礼だな。見ろ! 靴下は履いてるぜ! ホレホレ!」