そう呟き、美雪は無防備に廊下に出たのだ。


「な、何してんのよ美雪! 危ないって!」


私も廊下に出て、美雪の肩をつかんだ時、緑の人は私達に気付き、小走りで迫って来たのだ。









わわわっ! 来る来る!








気持ち悪いのが来るっ!


あまりの恐怖に、私は緑の人から美雪をかばうように抱き締めた。


接近する緑の人。


私達に残り2メートル程……と、いうところで、ズルリと何かで滑ったように体勢を崩し、その場に倒れ込んだのだ。


逃げるなら今しかない!


そう思っていたら……。










「龍平……何なのそれ?」








呆れたように、緑の人に美雪が尋ねた。








は? 龍平?









緑の人があまりに気味悪くて、おかしくなったのかなと思ったけれど……緑の人は上体を起こして美雪に顔を向けているだけで、襲いかかる気配を見せない。


「いてて……何だよ何だよ、皆いるじゃねぇか。だったら俺を手伝いに来てくれても良かったんじゃねぇの?」


あ、龍平の声だ。


今まで感じていた恐怖が、足元からスーッと抜けていくようで。


その感覚と共に、腰を抜かした私は床に座り込んだ。


本日二回目だ。


「そうじゃなくて。どうしてそんなに緑色になってるの? それって塗料じゃないの?」