でも、この状況をどうすれば良いのか。
「向こう側に歩いていったみたいだけど、今なら逃げられないかな」
「いきなり猛スピードで追いかけて来たらどうすんのよ」
未知の緑の人に恐怖を感じながら、どうすれば良いかを話していると……。
「る……留美子ぉ……どこだぁ」
と、小さくうなるような声を、緑の人が発したのだ。
な、なんで私!?
あゆみも美雪もいるのに!
「よ、よ、呼ばれてるよ、留美子!」
何が何だか分からないまま、私は再び廊下に顔を出した。
「あ、あゆみぃ……」
今度はあゆみの名前だ。
どうして私達の名前を知ってるの!?
私はあんたなんか知らないのに!
ニチャニチャと音を立てて歩く緑の人が、廊下の奥から引き返して来る。
「私の名前も!? わわ……こっちに来るよ!」
私もあゆみもパニックになりかけていたけど、名前を呼ばれていない美雪はまだ冷静で。
緑の人を見つめて、何かを感じたのか、首を傾げた。
「この匂い……もしかして」