不安と恐怖を抱えて、工業棟へと続く廊下を走った。


「お、小野山さん大丈夫かな!?」


後ろの方からあゆみが息を切らせながら尋ねるけど、この先どうなるかなんて分からない。


「美紗に任せるしかないよ! さっきの見たでしょ!?」


私達がただ殺されるだけの恐怖の対象だった赤い人。


そんな奴と戦える美紗がダメなら、私達にはどうする事もできないから。


走り続けて不気味な気配から抜け出した時、もう目の前には工業棟の廊下。


そこに着いた私は、南側に曲がってすぐの教室に入った。


奥の二部屋は調べたから、途中のここから。


いつカラダ探しが終わるか分からないから、早く続きを調べないと。


部屋に入って、荒くなった呼吸を整えた私達は、しばらくして部屋の中を調べ始めた。


誰も、何もしゃべらずに。


きっと、不安で押し潰されそうになりながら、皆、今できる事を必死にやっているのだろう。


私がそうだから。


そして、この部屋を調べ終わって廊下に出ようと、入り口に集まった時、その音は聞こえた。











ピチャ……。







ピチャ……。













「待って……何か聞こえる」


美雪が私とあゆみに手をかざして、廊下に出ようとするのを止めた。