「わわっ! 来たっ!」
あゆみが声を上げると同時に、さらにガラスを突き破って廊下に飛び出すもう一つの影。
赤い人を行かせまいと、美紗も必死なのだ。
「嫌い嫌い! お姉ちゃん嫌い! まるで美紀ちゃんみたい!」
思い通りにならないのがよほど悔しいのか、地団駄を踏んで怒りをぶつける赤い人。
「あらあら、今頃気付いたのかしら? 私は嫌ってくれてかまわないわよ」
平静を保っているように見えるけど、美紗の肩が大きく上下している。
疲れてるんだ……私達を逃がすために赤い人の相手をする事に。
「小野山さんが止めてくれてる間に行こう!」
振り返らないように……美紗を信じて、私達は階段に向かって走り出した。
長い廊下をひたすら走り、階段にたどり着いた私達は、とにかく必死に階段を下りて二階に到着した。
「ねぇ! どこに行けば良いの!?」
「わかんない! けど……こっち!」
美雪の問いに、私は工業棟に向かって走る事で答えを出した。
疲れているみたいだったけど、美紗は大丈夫なのかな。
まだカラダ探しが続いてるって事は、美紗は死んでないんだろうけど。
背後に感じる、黒く禍々しい気配がまとわりついて振り払えない。
逃げても逃げても追いかけて来るようで。