あ……これまずいかも。


ひときわ大きな破片が、私の顔に向かって飛んでいる。


「留美子!」


自分の力では動けなくて、何がどうなったのか分からない。


だけど、その声と共に私の身体は、小さな段の下に倒れ込んで……ガラスを回避する事ができていたのだ。


「あ……み、美雪。ありがとう」


私を抱えて、床に倒れていたのは美雪。


こんな気まずい関係なのに、美雪が助けてくれたのだ。


気付けば、赤い人が机の上に立ち、ニヤニヤと笑いながら私達を見ていた。


「袴田さん! ふたりを起こして逃げなさい! 少しくらいなら私が時間稼ぎするわ!」


「う、うん!」


美紗に促されて、あゆみが私達に駆け寄る。


その動きに、赤い人がピクリと反応するけど、私達と赤い人の間に、美紗が割って入った。


いくら美紗でも、赤い人は止められないんじゃないの?


毎日殺されてるって言ってなかった!?
そうは思っていても、あゆみに引き起こされている私に、何ができるというわけもなく。


「お姉ちゃん達、遊ぼう」


赤い人は、どうやら私に狙いを定めたようで。