膝を抱えてうずくまり、廊下の方から聞こえる音だけに意識を集中させる。


そんな状態がしばらく続き……小さくドアが閉まる音が聞こえた。


足音は聞こえない……でも、教室の後ろから出たのなら、こちらに向かって来るはず。









来ないで……来ないで!








冷たく、切り裂かれそうな空気の中で、ギュッと目を閉じて……心の中でそう叫んでいた。


だけど、そんな思いを簡単に踏みにじるのがこのカラダ探しで。


教室の前のドアがカラカラと音を立てて開いたのだ。


その直後、スンスンと匂いを嗅ぐ音が聞こえ、教室の中に入って来た気配を感じた。


お、終わった……今日は生産棟を全部調べられるかな、なんて思ったけど、赤い人に見つかってしまう。


ヒタヒタという、かすかな足音が聞こえて……私達が隠れている机が、バンッという激しい音を立てたのだ。












「ひっ!」











み、見つかった!


あゆみの言う通り、逃げてれば良かった!


いくら後悔しても後の祭り。


机の上から、スーッと長い髪が降りて来て……白い顔が、私を見てニヤリと笑ったのだ。













「見ぃつけたぁ」












「ふんぎゃあああっ!!」


そのあまりに恐ろしい登場の仕方に、心臓が飛び出るような衝撃と共に、私は声を上げた。