と、あゆみが言った時、その音は聞こえた。











ゴトンッ。













「……今の音、何?」


隣の教室から、何かが落ちたような音が聞こえた。


私達が何かしたから、物が落ちたわけでもなさそうだし……だとすると、誰かがいる。


もしかして、赤い人が三階に上がって来たの?


「あゆみ、赤い人かもしれない。隠れてやり過ごそう!」


私は大きな机の下に隠れて、そう提案した。


「隠れてもダメなんじゃないの!? 匂いで見つけられるって留美子が言ってたじゃない! 逃げた方が良いんじゃない!?」


そうは言いつつも、私の隣で身を小さくして隠れるあゆみ。


「逃げても、廊下を落下されたらすぐに追い付かれて殺されちゃうよ! だったら、一か八かこの教室を素通りしてくれる事に賭けるね、私は」


本当は、怖くて脚が震えているから走れそうにないだけなんだけど。


何度も何度も赤い人に殺されて、健司の死体と、廊下を落ちるなんて行動を想像したら、とてもじゃないけどまともに走れそうにないから。