絶対に後ろを見ないぞと心に決め、足早に突き当たりのドアへと急ぐ。
その途中にあるトイレは……何か嫌な予感がする!
便器の中から伸びる手、トイレのなんとかさん、他にもトイレがらみの怪談なんてたくさんあるし。
私は目を閉じて、耳もふさいでその前を駆け抜けた。
「ふうっ……セーフ!」
他の誰かに見られたらバカにされるかもしれないけど、怖いんだから仕方ないじゃない!
そんなこんなでたどり着いた突き当たりのドア。
今度こそは開きますようにと、ドアノブに手を伸ばして力を込めてみるけど……やはり開く事はない。
「ちょっとお……マジで勘弁してよ。本当に出る所なんてあるの?」
思わず溜め息を吐いたその時だった。
「い、いやあああああっ!」
生徒玄関の方から、悲鳴が聞こえた。
「る、留美子!? 逃げて!」
後方からの、ものすごい勢いで走ってくるあゆみの声に、思わず振り返った私はその光景に恐怖した。
バタバタと派手な音を立てて迫るあゆみの背後……いや、頭上を、まるで天井が床であるかのように小学生くらいの少女が追ってきているのだ。