やぶ蛇だったと、ハァッと溜め息を吐いて顔を上げた私は、ここの学校の物ではない制服を着た少女が校門の前に立っている事に気付いた。


制服姿で、腰まである長くつややかな黒髪が風に吹かれて揺れている、すごくきれいな女の子。


私達と同じくらいの年齢なのは間違いないだろうけど……なんだろう?


「ねね、あのすっごいきれいな子、この学校に何か用かな?」


「え? あ、ホントだ。留美子の三倍はきれいだね。私が男だったら一目惚れしそうなくらい……」


私の三倍って……そんなのトップアイドルにもいないでしょ。


あゆみの目はビー玉か何かに違いない。


「転入生か何かじゃないの? 明日から通うから、下見に来たとかさ。どうでも良いけど」


相変わらず、美雪は友達以外には興味を示さないのね。


まあ、あの女の子が何であれ、今の私達には何の関係もない。


校門に近づくにつれ、女の子の視線が私に向けられているような気がして……。


女まで惹き付けるなんて、私の美貌も罪だわぁ。


フフッと、勝ち誇った笑みを浮かべながら、その女の子の横を通り過ぎようとした時だった。