「誰……とかじゃなくてさ、皆犠牲にするつもりかもよ? 自分だけ助かれば良いとか思ってるんだよ、あいつは」


健司が調べたであろう場所を、もう一度調べ直すのは時間の無駄だよね。


どこにあったかを教えてくれれば、こんな事をしなくて済むのに。


「皆……犠牲に? そうかもしれない。きっとそうだよ! 健司は、自分だけ助かろうとしてるんじゃないの!?」


「い、いきなり何よ? でも、さすがにそれはないんじゃないの? 私も適当に言っただけだし」


別に健司をかばって言ってるわけじゃない。


そんな事になってほしくないという気持ちが大きくて、口に出した言葉だけど……あゆみはそうは思ってないみたいだ。


「良く考えてよ? 健司はまだ、理恵さんの事が好きなんでしょ? でも、誰かひとりを犠牲にすれば、他の誰かが健司の行動を、お兄ちゃんとか高広さん達に言うかもしれない。そうなれば、理恵さんの耳にも入って健司は嫌われてしまうじゃない! それなら、皆いない方が……」







すごく話が飛躍してない?


ありえないとは思うけど、そこまで話を膨らませられるあゆみはすごいと思った。