二度、校内放送が流れて、あゆみの混乱はやっと落ち着いたようだ。
時間にして10分ほどだと思うけど、校内放送の間隔がやけに短かったな。
「……ごめんね留美子。気持ち悪いのと、パニックで頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃった」
「良いって良いって、そんな時もあるんじゃない? 私も休憩できたし、ちょうど良かったよ」
いつもの私なら、あゆみを座らせてこの教室の中を調べてるかな?
そして、北側の教室まで歩かせてそこで休ませたんだろうな。
まあ、どっちが良いかなんて今の私には分からないし、考えても仕方がない。
「健司は、この教室から出た時に殺されたのかな? ほら、物が散らばってるし」
教室の中を携帯電話の明かりで照らすと、棚の物品や椅子が動かされたような形跡がある。
「はぁ……健司は本当に、私達の中の誰かを犠牲にしようとしてるのかな。誰を犠牲にするつもりだろ」
そんなの、誰かなんて分からない。
あゆみ、美雪、龍平は、元の世界ではもういないのだから、この3人の誰かとは言ってたけど。
だとしたら、私のカラダの場所まで教えてくれないのは納得できない。
私も、犠牲にする中に入ってるんだろうな。