「あゆみ、男子トイレから調べよ」
「そうだね。早く調べて、早く隣の教室に行こう」
考える事は同じ。
私はあゆみにしがみついたまま、男子トイレの中に入った。
明かりひとつないトイレの中は相変わらず暗くて、赤い人とは違った恐怖が私を襲う。
個室の中から幽霊が出て来てもおかしくない雰囲気で。
「掃除用具入れの中は……ないね」
それでも、あゆみが一緒にいるから耐えられる。
「個室の方はどうかな? また便器の中になけりゃ良いけど……」
思い出しただけでもテンションが下がる。
なんで私のカラダが、あんなところにあったのか。
もしかすると、他の誰かのカラダも便器の中にあるかもと、少し期待しながら個室の中を見たけれど……残念ながら、この男子トイレにはカラダはなくて。
私達は、隣の女子トイレへと移動した。
女子トイレに入って、調べる事数分。
ここにもカラダはなく、私とあゆみは深い溜め息と共に廊下に出た。