そりゃそうだよね。
でも、気持ち悪くなって、私に向かって吐くのだけは勘弁ね。
「とりあえず……あの教室に行こう。その手前の教室は、龍平が調べたはずだからさ」
階段から数えて二部屋は、昨日調べた。
どうせ入るなら、調べていない部屋に入りたいから。
「分かった。しっかり歩ける?」
「ちょっと無理かな……まだ膝が……」
赤い人が近くにいないとはいえ、ゆっくりもしてられない。
いや、赤い人がいないからこそか。
暗い廊下を、携帯電話の明かりを頼りに進んでいく。
廊下の奥に見える通路誘導灯の緑の光と、消火設備の赤い光。
「てかさ……この血、どれだけ続いてるのよ。右も左も壁が血まみれ……うわっ、触っちゃった!」
こうなってから、暫く時間が経ったのだろう。
壁や床に付着している血しぶきは固まっていて、私の手に付く事はなかったけど、それでも良い気はしなかった。
教室をふたつ越えて、トイレの前にやって来た。
そうだ、この並びにある最後の教室の前に、トイレがあったんだ。
……入らないわけにもいかないよね。
ゆっくり休める場所でもないけど、探さないと終わらないんだから。