私の携帯電話が照らしている先にあったものは、誰かの眼球。


それが床に転がっていて、私の方をジッと見つめているのだ。


よく見れば目だけじゃない。


血しぶきは壁や廊下に飛び散っている。


「こ、これ……誰なの? まさか、美雪じゃないよね?」


「分からないけど……ひっ! る、留美子……そこの壁!」


あゆみが声を上げ、西棟側の壁を指差した。


うぅ……こういう時って絶対変な物があるんだよ。


だから、絶対に見たくない!










……けど、そんな事も言ってられない。


恐る恐るあゆみが指し示す場所にあったものは……。














ぺしゃんこに潰されて、壁に貼り付いた健司らしき人物の頭部だった。


「ひっ! ひゃああっ! あ、ああ……」


携帯電話の明かりで照らして、私は後悔した。


そのせいで腰が抜けてしまって、床にペタンと座り込んだ。


健司の首から上だけが潰れていて……身体の部分が辺りに見当たらない。


いったいどこに……もしかして、赤い人が持ち歩いてるとか?


うっ……そんな事を考えていると気分が悪くなってきた。