「ほ、ほら、今日はずっと一緒にいたでしょ? だから言ったつもりになってたんだけど……やっぱりまだ言ってなかった?」


ど、どうだったかな……。


何かをしながら聞いてたとしたら、右から左のような気がするし、何とも言えない。


「ま、まあ良いよ。三階を調べてから取りに行こう」


工業棟で脚を見た時、あゆみがすぐに私の脚だって分かったわけだ。


前に一度見てるから、すぐに私の名前が出てきたんだ。


そんな事を考えながら踊り場を抜け、階段を上がり、三階の廊下を踏み締めた私は、昨日とは違う廊下の様子に首を傾げた。


「どうしたの? 立ち止まったりして」


「え? ああ……何でもないんだけど、誰かに見られてるような気がして。気のせいだよね」


ハハッと笑い、あゆみの顔を見ると……携帯電話の明かりでかすかに照らされているあゆみの表情が、どんどん引きつったものへと変わって行く。


「る、留美子……それ何……」


「はぁ? そんな事言って驚かせようったって、そうは……ふえっ!?」