カラダがひとつ戻った私は、が然やる気が湧いてきて、今までの数倍の速度で調べる事ができた。
結局、この部屋にはもうカラダはなくて、あゆみと隣の部屋に移動しよう教室を出た時、それは聞こえた。
『赤い人が、工業棟一階に現れました。皆さん気を付けてください』
その校内放送は、もうこの棟が安全ではないという事と、龍平の危機を、私に教えてくれた。
「ヤバいよ留美子、赤い人が下にいる! 一階に行く階段はそこにあるし……ここから離れた方が良くない!?」
あゆみに言われるまでもなく、この状況がどんなに危険かは分かってる。
近くにいれば、赤い人は匂いで私達を見つける。
そうなれば、どこに隠れていたって見つかってしまうし、そんな状況で逃げ切れた事なんて一度もない。
見つかれば……確実に死ぬ。
ドクンと心臓が高鳴り、思わず胸に手を当てた私は、龍平の事は心配だったけれど、ひとつの決断をした。
「あゆみ、生産棟の三階に行こう。赤い人が今までいた場所だし、戻って来る事はないよ」
「えっ!? 龍平はどう……んーん、そうだね。私達が助けるなんてできないよね」