一階に続く階段まで一緒に行き、携帯電話の明かりで階段を照らしながら下りる龍平を、素直に見送る事ができた。
「さて……と、じゃあ私達も頑張りますか。龍平には負けてられないね」
そう言いながら、一番奥の教室に向かって歩き出すけど……少し心細くなったかな。
「ふふっ。留美子、龍平がいなくて寂しいんでしょ?」
「うーん……まあそうだね。あいつ、いきなり変わったからねぇ。高広さんとか武司さんが一緒にいるみたいだったからさ」
「お兄ちゃんはもっと格好いいです! はぁ……そんなつもりで言ったんじゃないのに」
あゆみの魂胆は分かってるよ、どうせ私が龍平の事を好きになったとか思って、突っついてるんでしょ。
だけどそれはないって。
いきなり男らしくなったからって、今までの行動が帳消しになるほどじゃないしね。
「バカな事言ってないで早く調べよ。赤い人はいつ来るか分からないんだよ?」
「あーあ、留美子と龍平がくっついたら面白かったのになあ」
面白いだけでくっつきたくないっての!