良かった……しばらくは三階にいるって事だよね。
その歌声を聞いて、私達は工業棟へと急いだ。
生産棟から工業棟に続く、長い廊下を抜けて、やっとたどり着いた工業棟。
いつもこういう場面に出くわすと、緊張感がすごくて呼吸が荒くなる。
「怖かったね……私、赤い人の声を聴くと膝が震えちゃうんだ」
毎日毎日、二度も赤い人に殺されてるんだから、あゆみが恐怖するのも分かる。
見つかったら最後、殺されるまで追いかけられるのだから。
「早く調べようぜ。そうだな、一階は俺が調べておくから、留美子とあゆみは二階を調べてくれよ。で、それが終わったら俺を手伝ってくれ」
本当に龍平は変わったなぁ。
高広さんの言葉ひとつで、ここまで変われるものかね?
「分かったよ。龍平がそう言うなら、信じるからね。いっぱいカラダを見つけてよ?」
「任せとけ! お前らも頼んだぜ」
いつもならこんな事を言われると、「龍平のくせに!」とか思うところだけど、今日は違う。