私にヤらせろとか言うくらいだから、ありえない話じゃない。
「お前は俺を何だと思ってんだ? 俺は、高広さんと話して、今自分が何をしなければならないか気付かされただけだ! 男ってのは、自分がこうと決めたら、絶対に曲げないんだぜ!」
「せ、成長したじゃん……だけど、それは心の中に留めておいてよね。自分で言ったら、なんか嘘くさいよ?」
生産棟へと移動しながら、カラダ探し中とは思えないような雑談をしている私達。
赤い人がいないと、相変わらず緊張感がないよね。
そんな事を考えていた時だった。
『赤い人が、生産棟三階に現れました。皆さん気を付けてください』
校内放送が流れて、私達に緊張が走る。
「生産棟……三階だって。場所を間違えてたら、危なかったね……」
あゆみの言う通りだ。
もしも、三階に行くと決めてしまっていたら……。
さらに、急いで向かっていたら、廊下で鉢合わせになっていたかもしれない。
美紗が言っていた、早く行ってもダメって意味が、分かった気がした。