「そ、それよりも誰か呼べば良いんじゃないの!? ほら、携帯はあるわけだし……」
ポケットの中に入っていた携帯電話を取り出し、皆の前で開いてみると……アンテナが表示されていない。
圏外ですらなくて、この携帯電話自体が使える状態にないって事?
「ダメみたいだな……やっぱり調べるしかないか」
そう、健司が呟いた時だった。
『赤い人が、大職員室に現れました。皆さん気を付けてください』
そんな校内放送が、スピーカーから流れた。
スピーカーから聞こえたその声に聞き覚えはなく、あの少女が言っているのではないという事は分かった。
でも、これは何?
「赤い……人? 大職員室に現れたって、どういう事?」
美雪がそう尋ねても、誰も返事ができない。
「わ、分からねぇ……とにかく、ここから早く出ねぇとな」
「わ、私、反対側の棟を調べてくる!」
夜の学校は怖いけど、訳の分からないモノが二階の大職員室にいる……。
皆でいたら、それがここにやって来そうで。
少しでもここから離れられる場所に行きたかった。