健司が今までにどれだけのカラダを見つけたのかは分からないけど、それを聞く気にはなれないんだよなぁ。
なんか、嫌な奴になったって言うか……昔から話しにくい奴だったけど、今はそれに輪をかけて話しにくい。
「じゃあどうする? 追い詰められる事を考えると、二階にいる方が逃げ道を確保できると思うけど……」
私には、その提案を否定できるような作戦がない。
あゆみのその提案に乗る以外の良い方法は思い付かなかった。
「それで行こう! 皆で調べた方が、早く終わるからね」
チラチラと健司を見ながら、話を聞かれていないか確認するけど、どうやら話は聞かれていないようで安心した。
今日は何だかうまく行きそうな気がする。
でも……私はこの時、考えるべき可能性を、まったく考えていなかった。
私達が話をしていると、生徒玄関のドアがゆっくりと開き始めた。
それに気付いた健司は、私達の方を見もせずに、誰よりも早く校舎の中に駆け込んだのだ。