「仕方ないわね。私がそれとなく聞いてみるわ。あなた達がいつまでも喧嘩をしているのは、私にとっても不都合でしかないもの」


そう言うと、私から離れて、美雪の方へと歩き出した美紗。


ドアが開くまでに帰って来て、話を聞かせてくれるのだろうと期待したけど……。


どうやら、そういうわけにもいかないみたいだ。


「留美子、今日はどこを調べるんだ? 適当な所を調べて、後でまた報告しあうのか?」


龍平が尋ねたその言葉で、私はハッと気付いた。


しまった……昼に一緒にいたなら、その時に話をしておけば良かった。


カラダ探しが始まる直前になって、こんな大切な事を話し合わなきゃならないなんて。


「え、えっと、生産棟はどこを調べたんだっけ? 三階ってまだだよね?」


「俺が一階を調べただろ? 三階は、赤い人が来たからちょっとだけだな。あゆみは調べたか?」


「私? 私は逃げるために入っただけだから、あんまり調べてないなあ。二階を少しだけかな」


つまり、二階と三階は、私達はほとんど手を付けてないって事だね。