私は赤い人に殺されて、カラダ探しをする事になるんだ。
逃げる事ができないのは分かってる。
でも、夢の中で殺されたのに、現実でも殺されるなんて嫌だ。
まだぬいぐるみは現れてない。
あれに触らなければ赤い人は現れない。
……なんて考えていた私の目が、おかしな物を捉えたのだ。
「ちょ、ちょっと……何でこれが……」
私は枕を抱いていた。
そう思っていたのに。
いつも使っている枕は、ベッドの上に置かれていたのだ。
抵抗しても無駄。
携帯電話の明かりで、抱きかかえていた物を照らし出し……私はそう思った。
私が抱いていたのは、枕なんかじゃない。
持っているはずのない、大きなうさぎのぬいぐるみだったのだ。
「なんで……こんなもの!」
思い切り壁に向かってぬいぐるみを投げ付けて、私はハッと気付いた。
初めて私が殺された日、ぬいぐるみを投げてしまった。
そして、私も同じように赤い人に殺されたから。
「あ……い、今のなし! 投げるつもりなんてなかったんだから!」