赤い人がニヤリと笑って、私の顔に手を伸ばす。


私はそれに抵抗する事ができずに、赤い人の迫る手を見ていた。


逃げられないと判断した私は……顔に手が触れた瞬間目を閉じて、バキッという何かが砕ける音を聞いて……殺されたんだと判断した。











「……はっ! はぁっ……何だ、夢か」


枕を抱きかかえ、ベッドの上で目を覚ました私は、今見ていた奇妙な光景は夢だったんだと理解した。


美紗の家で地下室に入ったりしたから、こんな変な夢を見たんだろうな。


気付けば、部屋の中は真っ暗で、夢の中とほとんど変わらない。


今も夢だと言われれば、信じてしまいそう。


「どれだけ昼寝してたのよ。今何時?」


ポケットに入れたままの携帯電話を取り出して、画面を確認してみると……暗いはずだ。


時計は21時01分。


お腹も減ったし、すぐにもまた眠れそう。














ん? 21時01分?


ヤバい! 赤い人がいつ来てもおかしくない時間だ!


身体を起こして、部屋の中を見回した私は、赤い人に怯えながら枕をギュッと抱き締めた。


何をしてもダメかもしれない。