でも、もう遅いと思うんだけど……。


ガックリと肩を落として、振り返った男性が、赤い人に近づく。


「ダメだよな……どうすればお前を生き返らせる事ができるんだろうな」


そう言って、涙を流しながら赤い人が納められた棺桶を抱えて、部屋から出て行った。


男性がいなくなった真っ暗な部屋で、ひとり残された私は考えていた。


美紗は、カラダの一部がなかったから、赤い人になってしまったって言ってたよね。


じゃあ、もしも全部そろってたら、生き返ってたのかな?


なんて事を。


もしかして、私達は赤い人と同じなんじゃないかな。


殺されて、カラダをバラバラにされて、全部見つけないと生き返れない。


どこかひとつでも欠けたままだと死んでしまうなんて。


「大丈夫だよ、お姉ちゃん」


考え込んでいる私に、突然誰かが声をかけた。


その声に驚き、慌てて辺りを見回してみると……。


「だって、お姉ちゃんはもう死んでるんだもん」


背後から声が聞こえて、振り返った私が見たのは、頭のてっぺんから足の先まで、真っ赤に染まった女の子。