私、部屋にいたはずなのに、どうしてこんな所にいるんだろう?


不思議と不安や恐怖はなくて、この場所で今から何かが起こるという事が感覚として分かっていたから、疑問に思いながらも、その時を待っていた。


しばらくすると、部屋のドアが開き、柔らかい光が辺りを照らした。


誰かがこの部屋に入って来たんだ。


「待ってろよ、美子。お父さんが元通りにしてやるからな」


確かにそう聞こえた。


その男性は部屋の中央まで進み、持っていたランタンで、そこに置かれていた木の箱を照らしたのだ。


何だろう、これ?


好奇心だけで近づいて、その箱を見てみると……。


中には血まみれの少女、赤い人が横たわっていたのだ。


「ちょっと! おじさんヤバいって! これ、赤い人じゃない!」


慌ててその男性を止めようとするけど、男性は怒ったような表情を私に向ける。


「赤い人とはなんだ! この子は僕の娘だぞ!! 邪魔をするんじゃない!」


そう言って私を押しのけると、男性はブツブツと何かを呟き始めた。