わ、私にも何か言うつもり?


翔太さんなんて、人にここまで言われた事がないせいか、涙目になってるのに。


「柊さん、帰るわよ。ふたりを起こして」


それだけ言うと、美紗は部屋から出て行った。


「あ、ちょっと待ってよ! あゆみ! 龍平! 帰るよ、起きて!」


慌ててふたりを起こして、私達も部屋を出た。


残された翔太さんは放心状態だったけど、本当にこれで良いのかな。


何だか悪い事をしたと思いながらも、うまく行く事を祈るしかなかった。


「ちょっと、美紗! あれはさすがに言いすぎなんじゃないの? 翔太さん泣きそうだったよ?」


家の外に出た私は、美紗の言葉が気になって尋ねてみた。


「良いのよ。ああいう頭で考えるだけの人間は、たまには伊勢君みたいに何も考えずに突っ走る事を教えないと」


そういう「その人のために言ってる」言葉と、余計な事の境目が私には分からない。


ともすれば、美紗の言葉なんて、大きなお世話とも取られかねないし。