「大ありよ。考えてもみなさい。彼氏がいない柊さんならともかく、相島さんにはあなたという彼氏がいる。だけど、プラトニックな彼氏は、キスのひとつもしてくれない。それなのに、他人に先に胸を揉まれてしまった……と、ここまで言えば分かるかしら?」
美紗、あんたも言葉を選んだ方が良いと思うよ。
私なんかより、ずっときついこと言ってるし。
その言葉に、翔太さんも困ったような表情を見せた。
高広さんと同じくらい、色恋沙汰にうとい翔太さんでも、さすがに理解したみたいだ。
奥手だとは思ってたけど、半年も付き合ってて、まさかキスもまだだったなんてね。
美雪も不安になってたのかな?
……そこで私のあの言葉か。
そりゃあ、怒っても仕方ないよね。
「いや、だけどそういうのは雰囲気と言うか、順序ってものが……」
「その臆病な考え方が、相島さんを不安にさせていると知りなさい。あなたがやる事は、柊さんに原因を聞く事じゃなくて、相島さんを求める事じゃないかしら? 家が近いのなら、今すぐにでも行きなさい!」
そう言うと美紗は立ち上がり、私の顔を見つめた。