「はぁ……何か、現実に起こってる事とは思えないけど。良いか、留美子。美雪はお前を一番大切な友達だって、ずっと言ってたんだ。そんな人にひどい事を言われたらどう思う?」


優しく私に語りかける翔太さん。


良かった、怒ってるかと思ったけど、声は穏やかだ。


安心して、そらしていた視線を翔太さんに戻すと……言葉とは裏腹に、その表情は今まで見た事がないような、怒りに満ちたものだった。


「うっ! しょ、翔太さん……怒ってる?」


「怒ってない。少なくとも、ごまかそうとせずに、本当の事を伝えようとしたから、お前は小野山さんを連れて来たんだろ?」


絶対怒ってるよ!


怒りを抑えてて、ちょっとつついたら爆発しそうだよ!


でも、私がそんな事を言える立場じゃないし。


また感情に任せて口を開いたら、後悔する事は目に見えてるから少しは我慢しないとね。


「まさか、私のせいで、こんな事になってるなんて思わなかったからさ……」


「……昔のお前なら、そんな事は言わなかったよな。少しは成長したか?」


そんな怒った顔で言われても、皮肉を言われてるようにしか思えないよ。