高広さんなら、明日香さんのために犠牲になる事くらい平気でしそうだから。


「高広さん、女の私でも、そうした方が良いのかな? 私は死んでるんでしょ? お兄ちゃんの事を考えると……」


「武司は、あゆみに死んでほしくないだろうな。そのためならなんでもすると思う。だけどな、あゆみが人を犠牲にしてまで自分が助かったなんて知ったら、武司はショックを受けるんじゃないか?」


あゆみも龍平も、高広さんの言葉で考え込むような表情に変わった。


話をしながら昼食を終えて店を出た私達は、そこで高広さんと別れた。


あゆみも龍平も、高広さんのおかげで何かを決心したみたいだ。


「さて、これからどうするんだ? 特にやる事がなかったら解散か?」


何となく美紗の家の方に向かって歩きながら、龍平が尋ねる。


「そうね、地下室も見つけた事だし、今は何もする事がないわね」


私もこの後の予定がないなあ。


昨日、美紗の家でカラダ探しまでいたから、今日も何となくそのつもりだったんだけどな。