判断を私に委ねるって事?
どうすれば良いか分からないまま、私は美紗の肩をつかんで、しばらく立ち尽くした。
結局、この時は答えが出せずに、私達は一階に戻ることになった。
私が知らない元の世界の話なんて、聞く事をためらう必要はないはずなのに、何だかひとりだけ知ってしまう事が怖かったから。
「皆、あの部屋にいてよく平気だったね。私はダメだったよ」
一階のホールに戻ると、あゆみと龍平は階段に腰かけていて、元気がなさそうに見える。
よほどあの部屋が合わなかったのだろう。
「ふたりとも、悪かったわね。あなた達がもうあの部屋に入る事はないわ。探してくれて、ありがとう」
気遣っているのか、それとも本当の事なのか、美紗がふたりの前でそう言った。
「それにしても、あの部屋は何なんだ? 何かこう……変なものが集まってるってか、出て来てる感じがしたけどよ」
「あー、それだよ龍平。私もそれは感じた。悪意か敵意か、とにかく私達を拒絶してるような感覚だった」
こうして話を聞いてると、このふたりが特別なように思えてしまうけど、そうじゃないんだよね。
ふたりは普通で、おかしいのは私達。