「祭壇に魔方陣……供物は朽ち果ててるみたいね。何の知識もない人間が、思い付きでこんな事を始めるから後の人間が苦労するのよ」
いつもとは違う、少し苛立ったような口調で部屋の中を見て歩いている美紗。
「留美子……何だか私、気持ち悪い。この部屋にいたくない」
「お、俺もそんな気がしてきた。あゆみと上に戻ってるわ」
入り口の前に立ち、顔をしかめるあゆみと龍平。
そう言うと、今、下りてきた階段を小走りで引き返して行った。
「仕方ないわね。あなた達と違って、あのふたりは抵抗力がないもの」
入り口の方を見ようともせずに、部屋に置いてある小物を手に取り、美紗が呟いた。
「抵抗力? なんだよそりゃ。まるで俺達が特別みたいな言い方だな」
私と高広さんにあって、あゆみと龍平にはない抵抗力。
特にこれといって思い当たるような事はないんだけど……何かの病気かな?
「ええ、そうね。あのふたりは……あなた達と違って、本当のカラダ探しを知らないから、この部屋にいる事ができなかったのよ」
美紗の言ってる意味が、私には良く分からなかった。