「長年開かれていなかったから……というわけではなさそうね。私も感じるわ。すごく嫌な力を」
あんたがそんな事を言ったら、間違いなくヤバい気がするんだけど。
そんな事を思いながら階段を下りた先にあったドア。
何の躊躇もなくそれを開けた美紗が、暗い室内を携帯電話の明かりで照らして、「あっ」と小さく声を上げた。
その言葉の意味が気になり、急いで部屋に入った私達は……そこで、思いがけない事を目にする事になった。
「何……これ……」
石造りの壁に、部屋の奥に置かれた細長いテーブル。
その上には、例の儀式で使ったのであろう物がほこりを被っていたけど、その中央に置かれていた壷のような物の中から、煙がかすかに溢れ出していたのだ。
美紗と同じように、私も携帯電話のカメラの照明で照らして室内を見渡すと、いろんな物がある事が分かった。
壷だけじゃなく、捧げ物らしき何か干物や、朽ちた植物。
何より不気味だったのは、床に書かれた丸に星形の模様。
それから妙な気配が溢れ出ているようで……あまりこの部屋にはいたくなかった。