「柊さん、大当たりね。私ひとりじゃあ、この棚を動かせなかったから、ここを探す事はできなかった。お手柄よ」
まさか、本当にあるとは思わなかったな。
ちょっとこの部屋だけ違和感があるなぁって思ってただけなのに、探していたドアがあるなんて。
「あ、でも、これが地下室に続くドアだとは限らないよね? もしかするとドアの向こうはまた倉庫だったりして?」
「……それはないみたいね」
私が話している間に、ドアに近づいてそれを開けた美紗が、下り階段を指差して微笑んだ。
探しに探して、やっと見つけた地下室への階段。
私はその階段を下りながら、言い様のない不安を感じていた。
この先に、きっと美紗が言ってた部屋がある。
赤い人の父親が、バラバラにされた娘を生き返らせようとした部屋が。
「なんかさ……空気が重いよね。ねっとりとからみ付くって言うか、水の中を歩いてるみたい」
後ろを歩くあゆみが、声を震わせてそう呟いた。
小さな声だったけど、狭い空間のためか、先頭を行く美紗にも聞こえたようで。