「そう……あなた達を信じないわけじゃないんだけど、おかしな部屋とかなかったかしら? 私にはこの家は思い入れが強すぎて、他の人の感覚が分からないから」
そう言われても……。
あれ?
そう言えば、ひとつだけ不思議に感じる所があった気がする。
皆、首を傾げて、美紗の言うおかしな部屋を思い出そうとしているようだけど、どうやらそれは出て来ない様子。
あんなに違和感があるのに、私の感覚がおかしいのかな?
「あのさ、ちょっと疑問に思った場所があるんだけど。言ってみて良い?」
「いつも言いたい事を言ってる柊さんが珍しいわね。遠慮しないで言ってくれるかしら」
……なんか引っかかる言い方だけど、まあ良いや。
私が感じた、奇妙な感覚。
美紗はこの家を、家が望んだ姿だと言った。
それぞれの部屋がきれいに保たれているのは、そのせいだとしたら……。
「どうして倉庫だけ汚いのかな? まるであの部屋だけ何年も放置されてるみたいな……それがこの家が望んだ姿って事?」