美紗の顔を見ても、期待していない事は明らかだったけど。
「小野山さん、龍平の言ってる事、本気にしてるわけじゃないでしょ? スイッチなんて……」
苦笑いを浮かべながら、黙って聞いていたあゆみが口を開いた。
私だって美紗が本気でそう考えてるとは思わないけど……この子は何を考えてるか分からないところがあるから。
「そうね。現実的に考えてないとは思うわ。だけど、隠されてるって考えは間違ってないかもしれないでしょ?」
確かに、ここまで調べて地下室の入り口が見つからないんだから、そういう可能性に賭けるしかないんだろうけど。
地下室ってくらいだから、もしかすると床に入り口があったりするかも。
「壁は調べたけど、私達、床は調べてないよね」
「それならもう一度探しましょう。伊勢君を起こして、床なら皆で調べれば、そんなに時間はかからないと思うわ」
そう言いながら、美紗は高広さんの肩を揺すり始めた。
その程度では起きないと思うんだけど……。
なんせ一度寝ると、蹴飛ばされてやっと目を覚ますくらいだから。